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★今日のサスケ語録★
実はオイラ、鼻でかワンコなんでバウ♪
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サスケに過酷な運命がやってきた日。
それは7月最後の土曜日だった。
その日、プーとサスケを
近所のペットショップまでトリミングに連れていった。
普通、パピヨンはそれほどトリミングの必要はないはずだけど
サスケは普通のパピヨンよりかなり毛の量が多く、
ほっとくとかなりモサモサと伸びて、見栄えが悪くなってしまうのだ。
(毛が伸びたらサスケあらためモサスケ、と彼は呼ばれてる)
サスケたちを預けると、私たちは1週間分の買い物に出掛けた。
ここまでは、なにげない普段通りの日常だったのだが…。
買い物を終えて、ペットショップに迎えにいくと
店員が慌てて話しかけてきた。
「あ。サスケちゃんのママさん!お待ちしてました。
電話したんですが携帯がつながらなくて…」
店員の態度に胸がざわつくのを感じながら、私は聞いた。
「ウチのコ、どうかしましたか?」
「サスケちゃんのほうなんですが、
シャンプーしていたら急に咳き込んで具合悪くなったんです」
そして奥からぐったりとしたサスケが運ばれてきた。
呼吸音がゼイゼイとして雑音が混じってる。
…これはちょっとマズイかな。
実は、サスケは1歳のときに肺炎になって入院したことがあり
そのときの症状によく似ていた。
この様子だと、肺炎が再発でもしたのかな?と
心配なのは別として、
私はあまり焦りを感じることもなく
サスケがかつて入院した病院に連れて行ったのだったが…。
「サスケちゃん、心臓の機能の一部が停止しています」
サスケを診てくれた先生は、
重い口調で私たちに思いもよらないことを告げたのだった。
え…。
心臓が動いてないの…?
それって…けっこうやばくない?
だって、
心臓が止まったら普通、死んじゃうんじゃない?
なにげなくそう思った途端
私は血の気がすぅ、と引くのを感じた。
サスケが?死んじゃう?まさか!
しかし、先生は私の不安を打ち消してはくれずに
沈痛な面持ちでこう言ったのだった。
「このままではちょっと危険な状態です。
もちろん全力を尽くしますが、万一のことも覚悟してください」
覚悟?覚悟ってなんの?
だって、サスケ今朝までは元気に遊んでいたよ?
ごはんだって食べたしウンチも立派だった。
そんなサスケが危険だなんて冗談だよね?
先生、なにいっちゃってんの?
気のきいた軽口をたたいて
その場の重い空気を吹き飛ばしたい衝動に駆られた。
でも、
頭のなかはまっしろで、
言うべき言葉はなにも思いつかなかった。
サスケに訪れた過酷な運命を
この時点ではまだ受け入れることができずに
もしかして今日は、
サスケといっしょに家には帰れないのかなあ、と
のんきなことを考えている私だった。