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★今日のプーの一言★
トイレって意外と落ち着くでバウ
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仕事をとるべきか?
プーをとっていいものなのか?
悩む女に男が提案した。
「ママ、会社どうしても休めない?早退は無理なの?」
そうか早退か!その手があったか!
「あ、そうだね!
振込み手続きしてすぐ帰れば午前中で終わるよ!
パパってアッタマいい〜〜〜」
いや、これぐらい気が付かないほうが
頭悪いと思うぞ、女。
そうと決まればさっさとしたくして会社にいって
仕事して帰ってこよう。
「じゃあ、ちゃちゃっと振込んですぐ帰ってくるから
それまでプー、我慢して待っててね!!」
後ろ髪ひかれつつ、女は会社に行って
ものすごい勢いで仕事を片付けた。
その日、オフィスには女のほかに
ひとつ年上の常務がいるだけであった。
振込み手続きを終えた女は、恐る恐る常務に申し出た。
「あのぉー、
月末近くで忙しい時期に大変申し訳ないんですけど
今日はこれで早退させてください…」
自分にとってはプーは大切な家族なのだが
世間一般でいえばやはり“たかが犬猫”の話である。
犬のために忙しい日に帰りたいということは
自分勝手なわがままに思えて、どうしても口ごもってしまう。
「え。どうしたの?具合でも悪いの?」
心配そうに聞く常務に、女はしどろもどろで答えた。
「えっと…私の具合は悪くはないんですけど。
てか、具合が悪いのは私ではなくて…」
「え?じゃあ、彼氏の具合が悪いの?」
あくまで親身に心配してくれる常務のやさしい言葉に
女はたまらずいっきに白状した。
「大丈夫です!
彼氏(まだ結婚式前なのでこう呼んでいた)も元気ですッ!
具合悪くなったのはウチの犬なんです!
今日、食べたもの吐いちゃったので病院連れて行きたいんです!!」
ああ、いっちゃったよ。。。
しかし、その後の常務の反応もなかなかのものであった。
「えええ〜!!!
ウチの犬ってプーちゃんのことだよね〜!?
まだ子犬だよね、大変じゃん!
いいよいいよ早く帰りなよ!
僕にできることあればやっとくから!!!」
もちろん女は
プーを飼った翌日に散々プーの惚気話を常務にしていたのだが
いかにプーがかわいいか、という女の話だけで
彼はプーを「身内」のように親身に思ってくれていたようだった。
これには女も、ちょっとびっくり。
女が思う100倍はいいヤツだったことがこのとき判明。
見た目はチョイ悪系でガタイもでかく
サングラスかけて六本木なぞ闊歩したら
どう見てもカタギには見えないコワモテな印象の常務だが
中身はどうして、
格闘技と旨いモノとカワイイ生き物が大好きな
心優しい青年なのだった。
「大丈夫!
後の作業は明日全部片付けるから!ありがとう常務!!」
こうして
出社して2時間後に心置きなくオフィスを後にすることが出来た女。
非常事態とばかりに、
電車のなかでオバサマに睨まれつつペットショップに電話して
“具合が悪い”“病院”という言葉を強調しつつ
プーを連れて行ける近所の動物病院を教えてもらった。
プー!
いますぐ帰って病院に連れて行ってあげるからね!
待っててね!!!
電車のなかではやる気持ちを押さえつつ
女は、子供の頃から何回も思ったことを強く願った。
あああ、どこでもドアが欲しい…!