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★今日のプーの一言★
この瞳でパパママのハートを射止めちゃうんでバウ♪
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かわいい…。欲しい…。
女は悩んだ。
しかし、理性が<ムリだ>と告げていた。
そうだよね。
いま連れて帰ってもウチは今ダンボールだらけ。
カーテンも照明も、テーブルもない。
これを1週間で
スィートホーム・新婚仕様に仕立てあげなくちゃなの。
そんな落ち着かない環境に来ても
このコにとっては迷惑になるだけだよね…(;_;)
そう男に話すと、男も納得し
その日は泣く泣くペットショップを後にした。
だがしかし
もちろん思いきり二人は後ろ髪をひかれていた。
男はことあるごとに
「ああ、かわいかったねえ、あのコ…」
と、恨めしそうに女に向かってつぶやくのだった。
ムッキーーー\(`0´)/!!
てやんでぃ!だったらちっとは手伝え!
こちとら人が暮らせるように
段ボールと日夜格闘してるんでぃ!
その度、女は心のなかで毒づいた。
それは既に、新居に越してきたばかりの
ウイウイしいはずの新妻の独白ではなかった。。
思った以上に、片付け作業は難攻していた。
部屋が荒んでいると、心も荒む。女も荒んでしまっていた。
そうこうするうちに一週間後。
男の両親が、二人の新居に泊まりにきた。
一泊二日の短い滞在時間であるが
両親に快適に過ごしてもらおう、と
女はなかなかにガンバッた。
おかげで、両親はとても満足した様子でお帰りになり
たいした失敗をすることもなく、
無事におもてなしを終えて女はほっとしていた。
両親が帰るとき、
二人は最寄りの駅まで見送りにいった。
両親が改札を通って姿が見えなくなった瞬間だった。
男がきっぱりと、言った。
「さ。じゃあ、買いに行くぞー」
なにを?と聞くまでもなかった。
女は緊張感が溶けてへろへろと脱力していくのを感じた。
男よ…。ぜんぜんあきらめてなかったか。
なんとネバー・ギブ・アップなやつ。
まあ、それくらいのほうが大黒柱としては良いのかもしれないが…。
女は、もう逆らう理由も気力もなく
よろよろとペットショップについていった。
ペットショップでは店員がニコニコして二人を出迎えてくれた。
「あ。そろそろ来ると思ってました。
この前気に入ってたパピヨン、まだ居ますよー」
おお、良かった。
まだ売れずにここにいたか。
ずっと、このコは私達をここで待ってたんだ。
なんて健気なんだろう。
感激する二人に店員は続けてこう言った。
「なんか僕ねえ、わかるんです。
このお客さん、きっとこの犬飼うだろうってことが。
だからほかのお客さんがこのコ気に入っちゃったら
どうしよう、とか思ってたんですけど。
どうします?このコ飼いますか?」
店員の言葉に二人はもう迷わず、力いっぱい答えた。
「はい!飼います!!!」
こうして、プーはようやく我が家に来ることになったのである。