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★今日のプーの一言★
パパ遊んでたらお昼寝しちゃったでバウ。
しょうがないからプーが
添い寝してあげるでバウ。。
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−春に出会ったから…。
それはなんと優しく、あたたかなフレーズだろう。
女、うっとり。
−ハルちゃん…。
それは、なんと安直な考えなのだろう。
女、がっくり。
男のこのセンスをどう表現したらよいのだろうか。
メルヘンかつ合理主義とでもいうべきか?
それはいい。メルヘンも合理主義もどっちもキミらしい、と思う。
しかし、相反する性質を同時に出されると極端すぎて判断に困るのだ。
女は考えた。
しかし、考える時間はそれほどないことも知っていた。
なんといっても男は<せっかち>なのである。
早く答えないと、あっさりハルちゃんに決定してしまうであろう。
まあ、ハルちゃんでも悪くはないのだが、
目の前の子犬のイメージではないように思う。
女にとってハルという名の響きは、昭和テイストとでもいうか、
なんだか、サザエさんに出てくる
おフネ母さんの友達にでもいそうなイメージの名前なんである。
(全国のハルさんゴメンなさい)
ハル…春、スプリング。。プランタン…
女は<春>にちなむ単語をぐるぐる連想した。
頭のなかでは、なぜかヴィヴァルディの「四季」が流れはじめる。
おおう。おフネ母さんがバイオリンもって踊りだしそうだ。
おかしな具合に湧いた脳ミソは、やがてひとつの単語を思いついた。
「あ。じゃあ春を理由にするならプリマヴェーラなんてどう?
春の女神って意味なの!」
いきなり昭和からバロック、そしてルネッサンスに飛ぶ女。
「プププ、プリマヴェーラ!?やだよ、恥ずかしくて呼べないよ!」
案の定、男は女の意見に抵抗した。
(だよな。)女も心のなかではそう思った。
パピヨンの外見にプリマヴェーラという名前はとても似合ってるが
自分たちがプリマヴェーラと呼ぶようなキャラクターではない。
しかし、なぜだかここで引き下がれない、と女は思った。
「じゃあ、プリマヴェーラ略してプー!」
「プー???」
「外国人とかよく名前略すじゃん。
エリザベスをリズ、とかパトリシアをパティとかさ。
だからプリマヴェーラもプー!これでどうだ!」
「えぇぇ〜〜〜…」
自分でいいながらも女は
そりゃディズニーキャラクターのクマさんじゃん、とは思った。
多分、男もそれに近いことを思ったのであろうが
女の妙な迫力におされてか、強く抵抗できぬようである。
男は困った顔で、ふと子犬のほうを振り返った。
子犬はゲージのなかで
(パパ…ママ…けんかしてるんでバウか?
仲良くしてくれないと、あたちは悲ちいでバウ…)
とでもいってるような表情でうるうると二人を見つめていた。
うぎゃあ。
その姿、
超・スーパー・スペシャル・ウルトラ級にカワイイっ!!!
二人、完璧ノックアウト。
「も、かわいいからプーでもなんでもいいや♪プーちゃあん♪♪」
早速やられた男は
とろけまくった表情で子犬をプー、と呼んで
いそいそとゲージに向かうのであった。
こうして子犬の名前は
“プリマヴェーラ”略して“プー”に決定したのである。
★後日談★
その後、結婚式の会場を決めたとき
なんと披露宴の会場が
<プリマヴェーラの間>という部屋になりました。
すばらしい偶然でした\(^O^)/