いよいよ、アメリカに別れを告げる日…。
低血圧の私は、寝起きは悪くないものの、起きてすぐに動き出すと一日中頭痛に悩まされる為に、かなりの余裕をもって起床。
もたもたと支度を済ませ、一人まったりと、部屋でコーヒーを飲んでいるところに電話のベルが…。
でも、受話器を取っても何も聞こえてこない…。
モーニングコールをKが頼んだのか?…少しは奴も仕事をしてるんだな…。
と思い、受話器を置いてしまった。
5分後くらいに、またベルが鳴る…。
あぁ、念の為か…。
再び受話器を取って置くと、更に5分後に電話が掛かってくる。
さすがにモーニングコールじゃないと思い
『Hello…もしもし?』
と言ってみると…
『あっ…先生ですか?』
と、少々焦った声。
Kと同部屋のSからだった。
『実は、Kさんが夕べから熱を出して大変なんです!』
『はぁ〜?!Σ( ̄□ ̄;
何で電話を取ったら何か言わないの〜?それに、夕べのうちに連絡すりゃいいのに〜?…とにかく、そっちに行くから!』
全く、Sのトンチンカンっぷりにも去る事ながら、添乗員が寝込むなんて信じられない事態!
出発迄に後一時間くらいしかないのにっ!
もーーっ!何でこんな目に合っちゃうのーーーっ?!
(T∀T)
学校から持たされた、風邪薬と熱を冷ますシート、体温計を握りしめ、K達の部屋へと走る私…。
ドアをノックすると、Sが鍵を開けた。
ベッドには息絶え絶えのK。
『すいません…。』
すいませんって…それで薬は飲んだの?熱は何度?それよりも、動けるの?!
機関銃の様に問い掛けながら、取り敢えずは熱を計らせる事に…。
38℃台だったと思う。
夕べは薬を飲んだが、今朝はまだだと言うので、空きっ腹じゃ〜マズイと思い、朝食のクーポンをSに渡し、取って来させる事に…。(このホテルでは、クーポンと引き換えに朝食の入ったボックスを受け取る形をとっていたのが幸いだった。)
私は氷を取りに下のフロアまで走る。冷たい氷水にタオルを浸しながら
『荷物はまとめたの?』
もそもそと食事するKに話し掛けると…
『だいたいは…でも、後少し残ってます。』
集合時間が迫ってくる!
仕方がないので、Kの荷物をスーツケースに押し込む。
何で私が、こんな奴の荷造りをせにゃならんのだ!
私は客でアンタは添乗員だろがっ!!
つくづく、この旅…と言うより、Kと相性の悪さを痛感…。(T_T)
『一応、荷物はまとめたから、私は部屋に戻ってロビーに行きますから。』
自分の忘れ物はないかチェックを済ませ、ロビーへと向かうと、現地ガイドさんが迎えに来てくれていた…。
Kが熱を出してる事を伝えると、そのガイドさんが出国手続きをしてくれると言ってくれた。
『大丈夫ですよ。ボクがやりますから!…それに、Cさんには、お世話になってるし!』
良かった〜…飛行機にさえ乗れば大丈夫!
従兄の顔の広さにも感謝である。
例の4人組だけは、Kの周りで心配そうにしているが、他の生徒達は、冷たい視線で呆れ果てている様だった。
バスに乗り込んで、ようやく一息つき、次はいつ来られるであろうLAの街並みを眺める…。叔母、叔父、従兄や友人との別れ際を思い出しては、溜め息をつく…。
空港に着いて手続きを済ませ、ガイドさんとも別れを告げた。
飛行機の搭乗までは、長い待ち合い時間…。
免税店で買い物をしたり、本場のスタバのコーヒーをすすったりして時間を潰す。
生徒達の顔も少し疲れている様子だ。
『待ちくたびれちゃうね〜。…アメリカ楽しかった?』
生徒達に話し掛けると
『それなりに楽しかったけど、あいつ(K)はムカツク!…(現地の)ガイドさんか先生の従兄の人が添乗員だったら良かったのに…』
『もうNYは二度と行かない!』
等とブーイングの嵐。
この旅を振り返って、生徒達にもKは最低最悪な添乗員だったのだろう…。
私自身もNYには、あまり良い印象も思い出もないのだから…。
『帰ったら、校長にKの事は伝えるからね。皆の気持ちも代弁しとくよ。』
やっと、飛行機の搭乗が始まった。
また、LAの皆の顔が浮かんでくる…。まるで犬の様に匂いを記憶に留める為に、深く息を吸い込んだ。
バイバイ!LA!また、いつかね!(;_;)/~~~
窓の外の景色は、あっという間に雲の中へと消えていった…。
………………つづく