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小梅(東)
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サビ猫2匹、茶トラ一匹、それぞれ生まれも育ちも違う3ニャンズのお話
公園の近くにお嬢という名の猫が住んでいます。 飼い主は自営業のNさんという男性。 お嬢は、とっても臆病で、誰も近寄ることもできません。 私がこれまでに撮った写真はたったの二枚。 誰かが自分に関心を持っていると思っただけで逃げてしまいます。 お嬢が信用しているのはNさんだけ、 お嬢が好きなのはNさんだけ、なのです。 Nさんとお嬢は、私たちが公園に行く頃 ふたりでよくお散歩をしていました。 その姿はなんともほほえましく、うらやましいものでした。 Nさんはとても気さくな男性で、 たまに公園に来ては 「これ、お嬢に買ったんだけど、食べてくれないんだよ〜 公園の皆で食べてもらえるかな」と缶詰を下さったりしていました。 私たちはお礼に 「ではこれをお嬢さんにいかがかしら 気にいってくれるといいのだけれど」 などと、おやつや缶詰をお渡ししたものです。 (写真は本文と関係なくダリオとジュリ) 今夜もNさんが公園に来ました。 手にはレジ袋。 あ、又お嬢が食べてくれない缶詰かな、と思ったけれど 今日はなんだか量が多い・・・ 何か嫌な予感が・・・ 「実は・・・お嬢が今朝大通りを渡っちゃって・・・ 車にはねられた・・・」と言うのです 耳をうたがいました あの慎重な、臆病なお嬢がなぜ・・・ 信じられない出来事でした。 Nさんの家から二軒の家を通り越すと大通りに出ます。 12年間何もなかったのに、なぜ・・・ Nさんとお嬢の間には、実はこんなことがあったのです。 昔、私たちがまだこの場所を知らなかった頃 この辺りで毒だんご事件があった。 お嬢もその犠牲となり、生死の境をさまよった。 が、Nさんの必死の看護で一命をとりとめた。 そんな話を私たちはNさんから聞いて知っていました。 だから、二人の間には、普通以上の強いきずながあったことも。 飼い主にしかなつかないお嬢が、Nさんはたまらなく愛しかったのでしょう。 ツンデレお嬢はNさんにとって娘のようなものだったのでしょう。 本当に落胆されたようでした。 袋に入っていたのは、わがままなお嬢さんが好きだった缶詰なのでしょう、 Nさんはお嬢のために色々おいしい缶詰を買っていたのだと 思わず涙が出ました。 缶詰と一緒に、いつか私が差し上げてお嬢が気にいってくれていたという おやつもいっぱい入っていました。 お嬢の供養に、といただいた缶詰を 今日早速あけて皆でいただきました。 どんなに慎重であっても、外は危険がいっぱい いつ何があるかわからない、ということなのです。 一度は失いかけた命をとり戻し 12年間のNさんとの生活はきっと幸せだったよね、お嬢。 天国に行っても、ずっとNさんを見守ってあげてね。
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