早いもので一月も終わり、いまだまた新たに、歳を取ってしまう事を受け入れ切れていないのだが、
四人家族となって、半月が過ぎたのである。
ニャ王が訓練をし、一段、また一段とタワーを登っていった抹茶と違い、
きなこは自らの力で、来て三日も掛からず、てっぺんを制したのである。
『きなこ大暴走』
よ:「抹茶はこんなやったっけ??」
ニ:「植木倒したりしよったやん。」
確かに、私の力で抱えきれない(力持ちの部類)植木鉢を、倒した事もあったが、
ここまで毎日、ドタバタしていたであろうか・・・頭を傾げてしまうのである。
そんな中『よめキレる』より恐ろしい出来事が、わが家に起こっているのである。
『ニャ王患う』
ニャ王のどこかが痛む時、必ず!歓迎しがたい事が起こる!!
顔が変形するほどの歯の痛みに、食事も出来ないでいるのである。
ニ:「これで痩せるかも・・・」
よ:「ないね〜。」
日曜日。
山仕事に行ったものの痛みに耐えきれず、
父が昼食にと準備してくれていた『チャンポン』の具を、持ち帰る事にしたのである。
帰りの車で、
よ:「あれ?!あの子・・・どう見ても・・・ハーフよね?!」
ニ:「ゴールデンシェトリバーやろ。いててて・・・」
よ:「体調悪いとき、冴えてるよね〜♪」
ニ:「笑いの神が降ってくる・・・」
体はシェパード。顔はゴールデンの子を見かけたのである。
歯科医の治療を終え、それでも痛みが治まらないニャ王は、
あっちウロウロ。こっちウロウロ。
きなこか!?ぐらいの状態である。
ニ:「よめちゃん・・・ご飯食べていいよ・・・」
よ:「なら、いただきますぅ。」
お尻同様、歯の痛みも解らない私に、遠慮はなかったのである。
よ:「ありゃ!お父さんの具、海老おるよ。危うく、死んでしまうとこやったね。」
ニ:「俺、どっちにしても、食べられんかったんや・・・」
ただならぬニャ王に気付いている抹茶は、ニャ王に近付かないようにしているのだが、
まだまだニャ王を知らないきなこは、
カラン!カラン!カラン!
ダダダダ!ダダダダ!
カラン!カラン!
プラスチックの、しかも音が響くおもちゃを、ニャ王の耳元で転がすのである。
ニ:「う゛ーーー。」
ま:“きなこ!やめとけ!今日の父ちゃんは、いつもと違う!”
ニャ王から引き離そうとする抹茶。
そんな抹茶の優しさも、きなこには届かないのである。
結局、痛みは薬を飲んでも治まらず、もう一度雪の中、歯科医院へと車を走らせたのである。
痛みが落ち着くのが先か!
何か新たな展開が先なのか!
それでも笑いだけは、降り続く。
私たちにも解らない、何かが始まろうとしているのは確かなのであろう。