「そろそろ時間かな・・・」
抹茶をキャリーバスケットに、入れようとした瞬間、
“♪♪♪〜♪♪♪〜”
インターホンが鳴ったのである。
「しまった!遅かったか!」
抱き上げてた抹茶が、暴れ出したのである。
半年に一度の『消防設備点検』
かれこれ、3度目になるのであるが、やはり、あの音と、点検に来る人は、苦手なのである。
「えぇ〜(汗)カゴ入らんし・・・」
やけに小さいのである。
「ごめんね!抹茶!!待っててね!!」
慌てて、洗面所に閉じ込めたのである。
5分程度で終了。
「お待たせ〜。終わったよ〜。もう大丈夫よ〜。」
初めての点検。
体もまだ小さかった抹茶は、急いで食器棚に飛び上がり、
10センチ程の隙間で小さく丸まっていた。
勿論、『頭隠して尻隠さず』である。
2度目の点検。
同じ場所に逃げ込んだ。
しかし、体が大きくなっていた。
レンジが移動している。
『火事場の馬鹿力』とはこの事か。
そして、今日。
抹茶の姿がない。
風呂場??
洗濯カゴの中に、小さく小さく、うずくまっているのである。
普段から、あまり信用されていない??
私の、
「終わったよ〜。」では、動きもしないのである。
「さてと。洗濯干〜そ〜う〜♪」
ようやく、顔を上げたのである。
体が大きくなっても、怖がりなところは変わらない。
今日もまた、幾つかの傷跡が、私の腕と足に刻まれたのである。