ようやくお盆も終わり、バタバタ生活も、一段落となるはずだったのである。
抹茶がいることもあり、山を往復する生活を、送っていたのだが、
遅くなっても、二人(ケンもだ)の帰りを待ってくれている、抹茶の顔を見ることを楽しみに、頑張り続けたのである。
「終わったなぁ。コーヒー飲み行くか。」
『一時の幸せ』の場に、ジャギとニャ王と三人で、出掛けたのである。
ママンに似ている!と思っていたニャ王よりも、ジャギは、来訪者への気配り、対応、ママンそのもの!だったのである。
しばらく三人で、今後の展開を話し、川の流れを楽しみながら、癒されていたのであるが、
ガリ!!!
「歯、かけた・・・」
アイスコーヒーの透明氷を、ガリガリしていたニャ王の、歯の音なのである。
大の病院嫌いである、ニャ王の一大決心!!
「歯医者に行く・・・」
うちに戻り、お盆に診察している歯科医院を探し、我が家から通える所を捜したのである。
山から一路、歯医者さんへ。
麻酔も効かない、必ず、40度前後の熱を出すニャ王は、
「よめちゃんの保険証もあるか?」
「私は、いらんやん。看てもらわんで良いのに。」
案の定、麻酔が効かないまま、治療終了。
抹茶の待つ我が家に、戻ったのである。
ジャギにメールをしているニャ王。
“ケンは今、帰ったよ。”
ジャギからの返信からが、事件勃発!!の合図であった。
ニャ王と私が山を後にする時、ウダ男は既に呑んでいた。
大音量の『昭和の懐メロ』に、ひたりながら居眠り。声をかけても起きなかったのである。
「ま、無事なんとか終わったし、寝かしとこ。」
そのまま、ジャギに頼んで帰っていたのである。
ところが、ケンが山を出てから、ウダ男が大声をあげ、ドカン!バタン!と始めたらしいのである。
しかしウダ男は、直接、息子達に刃向かうことはしないのである。
それは・・・
「表出ろ!!」
「やめなさい!!母ちゃんは、弱いものイジメは嫌いって言いよるやろ!!」
箒を片手に、仁王立ちのママンの姿。
酔っ払い、グダグダ言っていたウダ男を、引きずり出していたニャ王も、意気消沈。
家族を捨て、別の生活をしていたウダ男に、鉄拳を振り下ろす寸前の出来事だったのである。
「歯折れてなかったら、もっと事は大きくなってたよね。」
ニャ王の歯が折れたことで、難を逃れたウダ男。
しかし、ケンを逃がし、独りで対応しようとするジャギに、ニャ王のウダ男への怒りは、爆発寸前なのである。
が、熱も上がりだし、痛みも増してきたのである。
動きを封じ込まれた・・・
ケンにお弁当を作り、送り出した後、
「抹茶く〜ん。ありがとね〜。父ちゃんも母ちゃんも、抹茶くんのお陰で、幸せ〜。」
抹茶がいてくれていることで、自分自身の精神状態を、確認する事が、出来るように思うのである。
そして今日も、闇に光がさすように、抹茶との一日が始まるのである。