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ソラ
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共に生きるために
私の手元に一冊の本がある。犬の訓練のために書かれたもので、 「 ザ ・ カルチャークラッシュ 」 ジーン ・ ドナルドソン 著 がそれである。 ( ヒトとイヌの ) 文化の衝突 という刺激的な題目が気に入って購入した。 人間と犬は、互いに全く異なる文化を持ち、人間と犬が共に暮らすことを 「 文化の衝突 」 と表現した。 だから、 「 犬は人間に忠実な動物 」 といった先入観をもって犬を訓練してはならない、と説く。 ここで、文化とはなんだろうか? 私は、それを、それぞれの動物種の内部で創り上げられる規範と考えたい。 とすれば、人間の規範 と 犬の規範 が違うのは当たり前のこととなる。 人間の社会規範の中で、生きるためには、犬がそれを知らねばならない。 しかし、犬が人間の社会規範を理解するのは容易なことではない。それゆえ、 「 規範を具体的な規則として教える 」 ・・・・ これが 訓練 である。 ドナルドソン氏は、行動主義心理学の学習理論を訓練の基底に置く。 今から 30〜40年前、一世を風靡した理論だ。 例えば、「 すわれ 」 と命令して、犬が座れば餌を与える、誉める、 これが基本。 さして真新しいやり方ではない。ほとんどの飼い主さんがやっていることだ。 私が思うに、問題は訓練の前提条件にある。 犬が 「 犬の規範性 」 のなかで、飼い主さんをどう感じているか? 危険な存在なのか、安心な存在なのか、が大切な条件となる。 もし犬が危険な存在と認識すれば、飼い主さんは反面教師と化すだろう。 すなわち、飼い主さんが犬の信頼を得ることが訓練の前提条件となる。 そのためには、逆説的だが ・・・・ 犬が犬自体としての規範を成長させることに協力すること、である。 犬の規範は人間には解らないものだ。 それは犬にしか理解できないもので、犬同士の間で創られ、 互いに教えあい、伝承されるものだろう。 だから、具体的には次の3つを大切にしたい。 一緒に行動すること、そして犬の大切な感覚、匂いを大事にすること 散歩など定期的に一緒に外を歩くこと、そしてリーダーウオークの訓練中でも 一定の場所では、しっかり匂いを嗅がすこと。 人間の世界が視覚中心で構成されているように、犬の世界で中心となる感覚 は嗅覚だから。そして、匂いは犬同士の情報伝達のための道具でもあるから。 できるかぎり、犬同士の挨拶をしっかりさせること 共感能力にみがきをかけるには、多くの犬と挨拶を交わすことだ。 ドッグランなどの犬の群れに定期的に入れてあげること 犬は群れる動物だ。群れは規範を要求する。 規範性の獲得にはもっとも効果的と考えられる。 人間の社会で、犬が安全に暮らしてゆくためには、どうしても訓練が必要です。 これを 「 しつけ 」 と呼びます。 しかし、この 「 しつけ 」 には、訓練と共に、犬が犬として生きる糧となるもの ・・・・・ 「 犬の規範 」 の発達が欠かせないと考えています。
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