小さな女の子が描いた、こんな絵があった。
家の中で ニコニコ楽しそうなアライ家の子と子犬達、家の外で目を吊り上げて怒っているワシ。
子供は正直だな…。うむ、その絵がワシに気づかせてくれたのだ。その小さな女の子の率直さが…。ワシはそれまで「ちょっとヤキモキ焼きの可愛いワンちゃん」で通ってきたのだ。が、これではまるで、嫉妬に狂った哀れな老犬だ。
いや、駄目だ!駄目だ!このままでは。老いに任せて、たるんだワシの心に再び闘争心が芽吹いた。
アンチエイジングだ。散歩はノンタラ歩く、ではなく、スタート時は疾風のごとく走ることにした。また、尻尾を追いかけて俊敏さを鍛え、座布団を振り回し顎の筋力向上に努めた。
なに、ストレス発散に聞こえるかな?
いいや、あくまで鍛錬だ。確かにストレスを感じてはいた。しかし、昔、弟犬に抱いた嫉妬心とは違う気がした。もしくはワシが大人になったのかもしれない。ワシは嫉妬心を向上心へと昇華させたのだ。ただ、うじうじと嫉妬して病気になるのではなく、己自身を磨く機会だとプラスに考えたのだ。
のんびりと老いに流されていたワシが、急に元気になったことはアライ家もすぐ気がついた。
「若がえったね〜」最高の褒め言葉だ!
老いに逆らうことは無論ムリだ。しかし、諦めてはいけない。気持ちだな、要は。心を若々しく保つこと、これがアンチエイジングだ。
ワシの長生きの秘訣か…、案外、ほどよいストレスかもな。
写真
みぃちゃんが描いてくれたイラストの復元画。