抹茶にお留守番を頼み、山の往復をする週末。
ニャ王と私は、山邸に到着時と帰りには、必ず仏壇に手を合わせるようにしているのである。
これは、祖父が亡くなってからは、欠かさないようにしているのである。
仏壇のそばに飾られている祖父の写真に、
“ただいま。今日も宜しくお願いします。”
元気な頃と同じように、
“帰ってきたかい。”
そう言ってもらえているような気がするのである。
昨日は来客があった。
昔話に花を咲かせ、ご機嫌なボスである。
ご近所での用を済ませ戻ってきたニャ王は、私の唯ならぬ空気を察知したのである。
「腰も痛うして歩かれんばって、娘が病院に来られん時は、私が爺さんの体ふいた。」
「こん人たち(ニャ王と私)は、福岡で好き勝手してるもんで。」
運悪く?!届いた現金書留。
祖父への御仏前であった。
「私んじゃん。」
違いますよー!!!
ちゃんと山邸の会計(ウダ男)に渡さないとー!!!
年金暮らしの90前の年寄りに、どういうつもりなのか、
『二枚舌子』と『越後屋』夫妻は、
「温泉にでも行ったがよかよ。」と、
ボスもちで3人で行く予定があると言うのである。
事前に阻止しようと試みているが、
私達がいる事を知らずに来て、
「う゛わっ!!おんしゃー!来とんしゃー!!」
玄関に立った私の前で越後屋に、しかも大声で言う二枚舌子。
「どうぞ〜。お茶でも〜。」
その日は上がりもせず、そそくさと帰ったのである。
それ以来、バッティングしないようにしているのか、
形跡だけが残るようになったのである。
完全に阻止するには、
山に住むしかない!!!!
のか・・・・・
帰り際、
“おじいちゃん・・・”
“よめちゃんよ・・な・・・”
下から目線でニャっと、
“大変やろが・・・”
元気な頃と同じように、目で合図する祖父の顔に見えるのである。
帰宅後。
ホッとしたのか、眠気に襲われたのである。
バシャッ!バシャッ!
風呂場で遊ぶ音が聞こえる。
チャリ♪チャリ♪
スリ〜♪
足の裏に少し水気を感じ、目が覚めたのである。
“母ちゃん♪起きた?父ちゃんとお風呂入ってたよ♪”
抹茶とニャ王の気遣いに、
自分の器の小ささに“すみません”と
優しさに“ありがとう”でいっぱいになった夜なのであった。