前回の続きです
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梨乃は、精一杯だった。自分の溢れそうな気持ちを小さなココロに留めるのが。
「梨乃?勉強、頑張れよ?」下から覗き込まれて思わず赤面する梨乃。
「頑張るっていったってもぉ頑張ってるも〜ん♪」精一杯の気持ち。反応。
―――――ゴメンネ?有先生。
あたし、自分の気持ちに正直になれないの。
本当ならね?「うん、分かった!」って言ってあげたい。
でも、そうすることはできなくて・・・。
「ゆうせんせぇ〜♪早くあそぼぉよぉ♪」
「分かった分かった!じゃあ、梨乃、頑張れよ!!」
「はぁ・・・・。」
連れてかれちゃった・・・・。嫉妬してるって分かってる。
小学生に嫉妬しちゃうなんて、あたし・・・最低だよ・・・・。
「梨〜乃!!暗くならないのぉ!!ど〜したの??」七海が落ち込んだ梨乃を見て言った
。
「・・・ううん!なんでもないっ!!ゴメンネっ、大丈夫だから・・・。」
精一杯の押さえ。我慢。
「無理しないでよね??」
「うん♪」梨乃はただ、頷くことしかできなかった。
――――あたし・・・やっぱり最低だよ・・・。
七海にも迷惑かけてる・・・。
心配してくれる友達がいなかったら、あたし、今頃どうなってんだろう・・・??
気がつけばもう、2日目が終わっていた。
大好きでたまらなくて・・・愛しくてあきらめられなくて・・・・。
叶うハズもない有先生との恋・・・・。
締め付けられるようなココロの叫びと嘘をついているココロの悲しみを覚え、梨乃は深い
眠りに落ちた・・・・。
〜カラフル☆LOVE〜第2章〜その3〜
だいぶ、ハードな合宿の生活にも慣れた頃・・・・。
そしてまた、疲れがたまってきた頃・・・・。
ついに明日は帰る日がやってきた。
が、その前に最低最悪な「まとめテスト」がある・・・。
まとめテストとは・・・合宿を通して学習した内容のテストを受け、成績優秀者には表彰が
ある。今日はまとめテストの当日でもあり、表彰式でもある。
――――はじめ!
一斉にクラス全員がテストを始める。
カッカッカッカッカッ・・・・名前を書く音が響く。
[次の食塩水の濃度を求めなさい。]
浮かんだのは、合宿の授業ではなく、有先生が丁寧に教えてくれた夏期講習。
必死に計算をして・・・・あれ??どうすればいいんだっけ・・・?
・・・・あっ!分かった!!100を約分すればいいんだっ!!
順調に計算を進め・・・・[A,18%]
よし!!出来た!!
素晴らしい達成感に包まれ、その後も止まることのないシャーペン。
――――終わり!!
やっと、終わったよ・・・・。あれ?まだ時間がある・・・。
あたし、終わっちゃったしなぁ・・・・。そうだ!!寝よう!!
残り20分のテストは睡眠時間へと変化した。
夢を見ていた。。。――――――
「―――・・・・い!!梨乃?」
あたしの名前を呼ぶ優しい声。・・・・・有先生??
「ここ!!間違ってるぞ・・・??もう一度やってみろ??」
優しい、子守唄のような声・・・。
ん・・・・??このテスト・・・・今さっきやってたテストと同じじゃん・・・・。
ってことは!?
思い立ったように白紙になっているテストを表に返し、もう一度、確認する。
やっぱり・・・・同じだ・・・・。
「やり直さなきゃ・・・。」すぐに思った。
時計を確認するとまだあと15分ある。
再び、シャーペンを握り、例の問題を解きなおす。。。。。
――――ok!!出来てるよ!!
有先生の声が脳裏に響いた。
全ての問題を見直しして、考えたのは有先生のこと。
――――今の。。。なんだったんだろう・・・・??
まさか・・・夢じゃなかったのかな?
でも・・・あたし、寝てたよね??
―――――「終了!」
先生の声と同時に解答用紙が集められる。
梨乃は思った。「こりゃ、ダメだぁ・・・(笑)」
―――――そして。「有先生!!ありがとう!!」
部屋に戻ってみれば、もうパラダイス♪
「わ〜い!!テスト、おわったぁ♪ってか、もう授業な〜い♪」
梨乃も七海も由香里も美咲もホテルの一室を走り回りもうすでに結果なんてどうでもいい
感じ♪
その後、お風呂に入り、ご飯を食べ、表彰式が行われる別のホテルへと車で向かった。
・・・なぜ、車かって??
志賀高原だから、夜になると猿が出る・・・らしい。
8月とは思えないほどの涼しさに肩を震わせ、ホテルに到着した。
――――ついつい、探しちゃうの。
有先生のこと。大好きでたまらない有先生のこと。
さっきの幻覚みたいな幻みたいな事もあったし・・・ね?
表彰式は意外にも楽しかった。
あの、怖いk先生が変装したり、普段、見られないような先生たちの姿が見られたしね。
が、しかし、結果発表になると会場全体が静まるのは・・・緊張のせい??
小学生から順に結果が発表されていく。
そして・・・・・「中学1年生、数学4クラス。」
なんで・・・あたし、緊張してんだろう・・・もう、ダメだって事くらい分かってるのに・・・。
いまさら期待するものなんて・・・守らなきゃいけないものなんて・・・・・
「第3位・・・・―――――高橋梨乃さん!!」
――――ないハズだったのにね??
会場全体に大きな拍手が沸き起こる。
梨乃は、自分の名前が呼ばれたことが信じられなくて・・・・その場に立つことも出来なか
った。
その時・・・・「梨〜乃!!早くたたなきゃ!!早く!!!」
七海がまるで自分のことのように喜んでくれた。
おぼつかない足でその場に立つあたし。まだ、信じられないあたし。
「第2位・・・・――――」
「・・・絶対、七海だよ♪」聞こえるか聞こえないかくらいの声で七海にウィンクする梨乃。
「――――小野七海さん!」
再び、大きな拍手。
あたしも「よかったねぇ」という思いを込めて手を叩いた。
「・・・・うそ・・・・っ・・・信じられないっ・・・・。」
梨乃と七海は手を握り合って喜んだ。
自分が3位だったことを確信して・・・。
「七海ぃ〜頑張って本当に良かったねぇ♪うわぁぁぁぁん・・・・っ」
「梨〜乃ぉっ、ありがとぉっ」
思わず、泣いてしまう梨乃と七海。
それをなだめるように祝福してくれる由香里と美咲。
「おめでとぉ〜♪」
2人は惜しくも賞を逃したけど、達成感が溢れる顔つきだった。
結果発表が終わると、今度は花火大会。
だが、梨乃と七海はいまだに涙がとまらなくて。
揺れる視界の先にはまぶしいくらいに輝く花火。
涙を拭って思った。―――「あたしが賞をもらえたのは。有先生のおかげ。」
ココロから感謝した。
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まだ、続きがありますが、ここで今回は終わりです。
では、また☆