セフィが来てから、シャールとの3年半という時間を感じさせられることが多くなった。
うちに来たばかりのシャールはいたずらで、甘噛みもひどく、家族全員痣だらけだった。
特に当時小学一年のAは一番の被害者で、いつも血だらけ。服は破れてボロボロ。かかとには未だに噛まれた傷が残っている。後ろから飛びつかれて鎖骨にヒビがはいったこともあった。
引きが強くて散歩も苦労した。左手が痺れて腱鞘炎のようになった。
「こんなの散歩じゃない」といつもこぼした。
おやつで釣ろうにもそんな時は見向きもしなかった。
呼びは全くきかない。
道路を気が狂ったように爆走するシャールをアタマの中が真っ白になりながら必死で捕まえた。
「しつけの基本」と言われるアイコンタクトなど、全然できなかった。
だけど。
現在シャールは何も手のかからない子になった。
おやつをあげると手に歯が当たらないようにそっとくわえる。
散歩も自転車引きで行ける。散歩中何度も目が合うと会話をしているようで幸せな気分になる。
相変わらず呼びはきかないけれど、一緒にごはんを食べに行ってもおとなしくしてくれる。
時間がシャールとあたしを近づけてくれた。
だから。
セフィも大丈夫、かな。