ここに咲ける二つの花
菜の花に、そして桜花
それは少し前のことであった
桜娘はこの世に萌え出でてすぐに恋に落ちた
眩しく咲ける菜の花に
しかし二人の距離は遠く隔たり、実らせるどころか近づくこともままならなかった
そこで桜娘は風の神に願い出た
「風さま。どうか、わたくしを、あの方の元へやってくださいまし」
「桜娘よ。そなたの命はまだ4日ある。あたら咲き誇る美しい身で、散り急ぐなどと」
「風さま。 わたくしのこの身は、いずれ散りゆく定め。ならばまだ美しいうちにあの方のお側へ参りとうございます。あの方の美しい姿にわたくしが彩ることができましたら、どんなにか幸せなことでございましょう。」
「桜娘よ。良いのだな。」
「はい。わたくしはこのような運命を幸せと思いこそすれ、拙いなどとは思いませぬ」
その次の瞬間。 風さまは大きく息を吐き出した。
桜娘はその短い命を風に任せ流されて舞い落ちていった。
ここ咲ける二つの花
桜は菜の花に寄り添うように
その生涯をとじていた
桜が舞い散るさまが可憐で妖艶で美しく、そしてどこか淋し気なのは、桜が恋をしているからなのだ。
なんちてー(^_^;)