あの日は、朝5時半からにゃーちゃんが大騒ぎだった。
早く外に行くんだ!ボクだけ外に行くんだ!と。
散歩は夜が明けてからね!と私の布団に引きずりこんで、ギュッとにゃーちゃんを抱えたら「もうダメだぁ…」となんとも言えない悲痛な声で鳴いた。
「何がもうダメなのよ、人聞きの悪い…」と思った瞬間だった。
ドーンと来た。
長いことグラグラと揺れた。
棚のものが全部落ちた。
数字では震度3か4だったと思うけど、5くらいか!?と思う揺れだった。
揺れが収まると、にゃーちゃんはいつものように鼻でため息ついて私の布団から出て行った。
あの後にゃーちゃんには、自分だけ逃げないで教えてよ!と言っておいた。
5年後に阪神淡路大震災クラスの揺れが山陰地方を襲った。
にゃーちゃんはちゃんと知らせてくれた。
20年経ったんだと言う実感はないが、地震にはさっぱり気付かないトラ子を腹に乗せて寝ながら言って聞かせる。
「なんか災害があったら自分だけ安全な所に逃げるんだよ。全部収まって大丈夫になったら出ておいで。お腹が減ったらカリカリの袋は破るんだよ。」
地震にも気付かない。カリカリも破らない。
なんかあったら心配だけど、一応野良経験あるし意外と大丈夫かもしれないけど。