春も過ぎて夏の足音が聞こえるようだ。すっかり遠くなったワシの耳にも。
最近ワシはサスペンダー付きのズロースをはいてみた。(オムツが仕込まれている!)可愛い〜、と、ウケは良かった。のだが…度々のソソウにズロースの役目が追いつかず…早い話、オムツの意味がない。形が雄の用に合っていないのだ。仕方なく今は痩せこけた体を玄関の冷たい床に預けたまま眠りにつく毎日だ。フロアに上げてもらえんのだ。
(アライ家母の言い分・暑い時期は玄関が一番ベストな風通しなの!! 冷たい床って…ちゃんとカーペット敷いてるでしょ!?)
後ろへ下がれなくなった。…頭を間違えて靴棚へ突っ込んだ日には、にっちもさっちもいかない。かすれてシワガレた声で助けを叫び求めた。だのにアライ家は笑っている。「サムが鳴いた!」
(アライ家の言い分・サムがヤケクソ気味に吠えているようで何だか楽しい。訳すなら「コラッ!誰か助けに来んかっ!!コラッ!コラッ!」と言っている様子。)
自嘲気味に生きるのは好かん。しかし、老化は受け入れる他あるまい。オムツも後ろへ下がれなくなったのも今のワシのありのままの姿よ。
頼みだが、散歩の時はしっぽを持ってくれ。真っ直ぐ歩けるから。