ZZzz....っと、
随分寝ていたようだな、世間は師走か…。
ワシも、もう十九になるのか、人間ならあと一年で成人だな。ワシは酒は好かん。トイレが近くなるからな。ついこの前まで、朝晩の散歩で用を足していたのだが、ここのところ、家の中でソソウしてしまう。
…オムツをはかされた!!このワシがだぞ!
寄る年波にはかなわない。要介護老犬か…。
体のあちらこちらが悲鳴をあげている。しかし、心はまだ、ヤングだ。
さて、アライ家にやってきた二匹の子犬。成長するにつれ、ワシに対して威圧的な態度を取り始めた。年頃の娘が父親に対するように、加齢臭が臭いだの、一緒の食器はいやだの、もっと遠くで寝ろだの言っては、いちいち噛み付いてくるのだ。
ついにワシは居間から追い出され、階段のロビーで暮らすようになった。
まあ、ワシはもともと外犬。二匹に便乗して室内犬へとランクアップしたのだから、文句はない。
二匹はワシと違い、気性が荒くての、ご近所さんと相性が悪いのだ。それで室内暮らしになり、ワシもご老体に暑さ寒さが堪えるだろうと、ついでに室内暮らしになった。ゆえに、アライ家の近くに以前にもまして寄り添えるのだから、文句など…。いや、まてよ?
ワシがあの日あの時あの場所で、二匹を見捨てずにいたから、マルコ!コロン!そうだ!今、お前たちは幸せに暮らしているのだぞ!!
たまには、ありがとうって言ってくれ…。
しかし、今住んでいるこのロビーは、玄関開けたらすぐの場所。お出迎えも見送りも、動かずに出来て便利だな。
しかも、ワシは孤独ではない。なぜなら今度は猫がやって来たのだ。アライ家に。
しかも三匹。動物園か?この家は…。