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「ペットと旅する −ヨーロッパの場合−」

海外旅行にはパスポート。 最近は、旅行にパスポートが必要なのは、どうやら人間だけではなさそうです。 2004年からEU加盟諸国で導入された、Pet Passport Initiativeという動きにより、国境を越えて移動するペットたちに認証を行うなど、人々のペットとの旅がより快適になるための様々な試みがなされています。

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多くの国々が陸続きのヨーロッパでは、人々の異国間の移動も日常茶飯事です。 しかし動物の検疫システムは国ごとに異なるため、ペットとの移動にはこれまで、多くの手続きや時間を必要としてきました。 そのような状況下に各国の協力のもと考案されたのがペットパスポートです。 EU加盟諸国では、Pet Travel Scheme(ペット・トラベル・スキーム:PETS)なる枠組みを構え、一定の条件を満たしていることを証明できる動物については、通常6ヶ月ほどもかかる検疫を、短時間の書類チェックのみで通過できる仕組みを取り入れることにしました。


それではこのペットパスポート、実物はどんなもの?? と、是非見てみたいところですが、実際には動物の個体の認証は、動物の体に埋め込まれたマイクロチップで行われるそうです。 マイクロチップには、個体認証ID、ワクチン接種の履歴などが記憶されており、ペットの識別をより正確に行うことが可能となるため、このマイクロチップの装着が、ペットパスポートの第一条件とされています。 その他には、ワクチン接種、血液検査、認定獣医師からの健康診断証明書などが諸条件として挙げられています。 

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また、EU加盟国内、国外からの移動では条件が異なり、さらに国によってはノミやサナダムシなどの寄生虫予防を追加条件としているところもあります。  このことからもわかるように、ペットの異国間の移動の証明必要項目の完全な統一化までにはまだまだ時間がかかりそうですが、それでも、マイクロチップの導入により、個体識別が容易となったことは、大きな進歩といえるのではないでしょうか。 



上記のペット・トラベル・スキーム(PETS)では、認証の条件のほかにも、旅行前・後の動物の健康状態チェックの義務 (その動物が、長時間の移動に適した健康状態にあるかどうかのテスト) や、旅行移動中の動物の安全確保のためなど、動物福祉の観点からも厳しい条件 (十分な水・食料等の供給があること、動物の体の大きさに適した空間が与えられていること、空気が換気されていること、清潔を保てること、など) が定められています。  また、盲導犬など、各団体に登録されているアシスタント・ドッグは、前もって検査、認証登録が行われていることを条件に、よりスムースな移動が可能となったそうです。 

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このように、EU諸国を中心に、ペット動物とより気軽に旅を楽しむため、そしてペットや補助動物と共に暮す人々がより快適な移動を行い、豊かな生活を営むことができるために、様々な努力がなされていることが窺えます。 動物検疫システムは、その国の生態系を守るためにも大切なしくみなため、無視するわけにはいきませんが、その条件を守りつつも、気楽に愛犬・愛猫と一緒に世界中を旅することができる日は近づいているのかもしれません。




写真提供:英国環境食糧農林省
All rights reserved(無断転載禁止)

筆者 おじょう


もっと知りたい!

もっと詳しい情報をご覧になりたい方はこちら

http://www.defra.gov.uk/animalh/quarantine/pets/index.htm 
英国環境食糧農林省のホームページ参照 ©Crown copyright 2006