電話を受けたその週末来院し、今後の治療法について説明を受けました。
細菌検出結果表には反応を示す薬が数種類出ていましたが、
身体に害もなく通院で効果が得られる可能性のある薬は一種類のみ。
他は点滴や注射で肝臓に障害が出たり、長い間入院になったり、
ぶぅにとってリスクが高い方法ばかり。
「先生、先生が一番最善だと思われる方法は一体なんでしょうか?」
Z先生は女性の獣医さんですが、優しく熱心で知識もあり、いつも空いた時間に
電話で様子を聞いてくれたり、相談に乗ってくれたりと
とても信頼できる先生です。
MRIの検査も、仮にぶぅが脳炎だった場合、悪化してしまうリスクがあるのなら
しばらく様子をみてからでもいいのではないか?と
(麻酔をしたことでてんかん持ちになったワンコが身近にいた為)
そういった私の意向も全て受け止めてくれ、その中で一番の方法を飼い主と同じ
立場になって考えてくれ今迄治療をして頂きました。
Z先生になら、ぶぅの事を任せられると確信していましたので、
今回は先生の言う通りにしようとこの時決心しました。
「私の考える一番最善の方法は、投薬と、大学病院でCTの検査と
ともに耳管と耳の奥の鼓室胞をチューブで洗浄し検査と処置をいっぺんに
行う方法かと思います。」
本院の東京動物医療センターも近隣では一番大きな
病院ですが、CTと耳の洗浄をいっぺんに行う事は出来ないので
一度で全て行える大学病院がベストだとのことでした。
実は今年の2月に軟口蓋、鼻腔狭窄、抜歯の手術を
日本獣医生命科学大学で行いました。
この時も呼吸器科の第一人者で、成功率の高いF先生に執刀して頂き、
専門医の方の知識やレベルの高さ、設備の充実度に
大変満足していたこともあり、大学病院に行くことはためらいがありませんでした。
今回ご紹介頂いたのは 東京農工大学の教授、T先生で
耳を専門にされており、臨床経験も多く術後の経過が
良いなどから、紹介状を書いて頂きました。人柄も大変温厚で、
全てにおいて信頼できる先生だと太鼓判を頂きました。
Z先生も週に一度農工大に来ており、その日に立ち合いしてくれる事になりました。
フレンチブルの耳道は大変複雑な構造になっており、他の犬種だと
鼓膜まで確認できるのですが、鼓膜まで見えないそうです。
ぶぅも毎回洗浄をして頂いてましたがやはり奥まで見えてはいないとは
常に言われていました。
中が見えない=洗浄が行き届かないために、汚れや最近が繁殖しやすく、
外耳炎⇒中耳炎⇒内耳までおかされてしまうケースが多いそうです。
内耳までいってしまうと前庭に影響が出て、斜頸、眼振、めまい、旋回、吐き気などの症状が出てきます。
いくらこまめに洗浄していても、構造的な問題からトラブルになりやすく、また
アレルギー持ちの子も多いので悪化しやすいのだそうです。
フレブルがいかに人工的につくられ、沢山のリスクを生まれ持ってきた犬種であることと、
飼う飼い主側も相当な覚悟がいる犬なのだと改めて認識しました。
と同時に絶対に治して見せる。と逆に変なアドレナリンが出て、
これまで以上にぶぅさんに時間がかけられるよう、逆に仕事にも没頭する事ができました。
〜その4につづく〜