隠れジイジファンの方、お待たせしました。
またしてもジイジのおバカ話です。
写真は実家の台所の上の梁に登るにゃーちゃん。
若い頃は毎日何回も登ってました。
正倉院の宝物庫の高床式の柱に、ネズミ返しの板がついているのをご存知かと思う。
実家の台所の柱にもそれを真似た紙箱製のものが付いていた。
実家の台所は天井板が張ってなくて、梁が丸見え。
そしてそれはにゃーちゃんにとって巨大なニャングルジムになった。
梁に登ってはゴミを落とすにゃーちゃんを見上げて私達は、意外とどんくさいにゃーちゃんが落ちやしないかと心配しながら見上げていた。
が、例によってジイジは違った。
にゃーちゃんが柱に登る時、柱に傷がつくからと、登らせないように色々考えていた。
そして例によってどの策もにゃーちゃんに破られ、最後にたどり着いたのが猫返しだった。
貰いものの菓子なんかが入っていた大きめの箱の真ん中に、柱きっちりの穴を開け、ガムテープで柱に止める。
本人は会心の出来だったらしく、にゃーちゃんに登ってみろとけしかけた。
その時一回は、猫返しまで登って降りた。
ジイジはよしよし、と満足気にその場を離れた。
しばらくしてまたにゃーちゃんが助走をつけて柱に飛びついた。
鼻先で箱をクイッと斜めにして、事も無げに登っていった。
バアバが台所仕事をしつつ、振り向きもせずにボソッと言った。
「知恵比べならジイジよりにゃーちゃんが上に決まってるわね…」
ジイジはだいぶ経ってから にゃーちゃんが梁に登っているのに気付いて、どこから上がったのか不思議がっていた。
そのうち、猫返しの箱に埃がたまって汚いからとバアバが片付けたら、また新たにジイジが設置。
この人はいつになったら猫より賢くなるのだろうと思った私達だった。
にゃーちゃんは10歳過ぎてもたまに思い出したように柱に登った。
12歳位まではいつも一気に登っていたが、さすがに13歳頃には途中までしか上がれないことがあるようになり、そのうち柱にも登らなくなったが、埃積もった汚い猫返しはそのまま残っていた。