目の前に横たわるサスケは
丸い目をきょとん、と見開いてとてもかわいらしかったです。
私に気がついて、伸びをしてから飛び起きて
シッポをふってくれそうな気がします。
でも。。。
「サスケちゃんがまだ暖かいうちに、抱っこしてあげてください」
確か、なにか話しかけながら私からサスケを抱き上げたんですが
なにを言ったのか、今となってはよく覚えていません。
動かないサスケをぎゅっと抱きしめたとき
こんなに暖かくて、柔らかいのに、なんの反応もないのがとても切なかったです。
首を支えるようにして抱っこしなければ、がくんと外側にのけぞってしまいます。
四肢にも力が入ってないため、体重は変わらないのにとても重く感じます。
フサフサのシッポもだらん、と垂れたまま。
もう私を見て尻尾を振ることもなければ
抱っこしてもぺろぺろ顔を舐めてくることもないんだな…。
そう思うと。耐え切れなくなって、サスケをパパのほうに差し出しました。
もっとずっと抱っこしていたいという気持ちと、
抱っこしてから実感として沸いてきた
サスケの死という事実の耐え難さが、胸のあたりをぎゅんぎゅん締め付けます。
パパも黙って、サスケをぎゅっと抱きしめてじっとしてました。
頃合を見計らって先生がそっと声をかけてくれました。
「よろしければこちらでサスケちゃんを綺麗にさせていただきますが…。
ワンちゃんは、亡くなったとき目を開いたままなので目を閉じてあげたいですし…」
「はい。よろしくお願いします」
私たちは処置室を出て、また待合室に行きました。
落ち着かない時間に、私はずっと連れてきたプーの体を撫でてました。
病院にはプーも連れて行きました。
かばんの中でじっとおとなしくしているプーは、
何事かの異変を感じてはいるのでしょうが、いつもどおりの態度で
撫でると嬉しそうに私の手を舐めてきます。
(プーも夜中にたたき起こされて病院付き合わされて大変だったねー。
もうすぐでお家帰れるからねー。サスケも一緒だからね)
話しかけながら、プーを連れてきて良かったな、と思いました。
こんな空虚な待ち時間、私とパパだけでは耐えられなかったかもしれない。。。
やがて、サスケの支度が済んで、また、処置室のほうに呼ばれました。
遺体をいれるための箱は段ボール製でした。
病院にはこういうものも、ちゃんと用意があるんだなあ、と妙なところに感心しつつ
段ボールに直接入れるのはいやだったので、連れてくるときサスケをくるんでいた
タオルを下にひいてあげました。
点滴を打った腕には痛々しいテーピングがされていたものの、
かわいらしいリボンを首に結んで、目を閉じてもらったサスケは
安らかに眠っているようにしか見えません。
ブラッシングもしてもらったみたいで、
まるでトリミングから帰ってきたときの気分になった私は
綺麗にしてもらっただけでも病院に来てよかったな、と思いました。
最後の会計を済ませて、外に出る頃は夜も明けてすっかり早朝の空気です。
夜中に発作を起して、夜間救急に何度が駆け込んだことがあるから
早朝の病院の雰囲気は馴染みのある風景だったのですが
こんな感覚を味わうのも、今日が最後なんだなー、と
いろいろな思い出が、「過去」に変わっていくように思いました。
悲しみでぐずぐずの私たち。
悲しい顔をしていたら、いつもはサスケが心配して
私を笑わせるようなことしてくれたのに。
その、当のサスケが、いなくなってしまった。。。
もう心から笑うことはできないんじゃないか?と錯覚を起すくらいの
沈んだ気持ちで家に帰りつき。。。
サスケをソファに落ち着かせ、
プーにお水をやってトイレシーツを変えて。。と
外出後の一連の作業をのろのろとやって、
なにげなくお風呂場を覗いたとき。
思わず、噴出してしまいました。
サスケってば。。。こんなのところにウ×チしてる。。。
サスケはなぜか、ウ×チはお風呂でするもの、と思い込んでるのです。
一度、下痢がひどいとき、お風呂場でしたら
ここなら片付けるの楽だからいいねー、といったら
褒められたと思ったのが、多分きっかけだと思うんですが。
息を引き取る前にすることはちゃんとすませていたんだなー。
て、ことは
いつものように苦しい発作を起すこともなく
突然、うっかり止まって、びっくりしての「きゃん!」だったんだな。
発作起してたら
さすがのサスケもウ×チどころじゃないだろうー。
てか、ウ×チしてすっきりしてから
心臓とめるのって、緊迫感に欠けるというか、ノンキというか。。
悲しい気持ちながらも、笑わずにはいられませんでした。
笑えないのでは?と思った飼い主を早々に笑わせるネタを
置いていくなんて、さすがはサスケです。
最後まで愉快に、彼らしい奮闘っぷりではないですか。
それにしても、ウ×チがこんなに愛しく目に映ろうとは。。。
これが最後のウ×チだと思うと、
片付けるのがすごくもったいないような気がして
タッパに詰めて保存しておこうかな?などとおバカな衝動にかられる私なのでした。
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もちろん、そんな衝動には従いませんでしたので、念のため^^;。
ウ×チ記念品を取っておくかわりにいつかこのエピソードをブログに書きとめて
思い出に残そうと思っていたので、
本日書くことができてようやく私もスッキリしました。
ま、似たようなもんかな。。。