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キャットアベニュー : ブログ

Blue Catを探して


モモタロウ
メーテル・リンクの「青い鳥」。チルチルとミチルが捜し求める幸せの青い鳥。幸せはありふれた日常の小さな夢や希望の中にある、そんなお話だった。一緒に暮らす猫たちは、喜びや悲しみを共有する。まさにしあわせの「青い猫」だと思う。猫たちに感謝をこめて、しあわせを運んでくる「Blue Catを探す」小さな旅に出かけたい。

NO.2 そろそろ「手あぶり猫」の季節が終わる

[02/27 11:27]



横浜・大佛次郎記念館で購入した「手あぶり猫」。氏が生前愛用
していた品の復刻版。


陶器製で、背中から炭火を入れ蓋をする。なでながら凍えた手さ
きを暖める、身もこころ温まる道具だ。

毎年、冬場になると出す「手あぶり猫」、お雛さまと交代の季節だ。久しぶりに、大佛(おさらぎ)次郎の「猫のいる日々」を再読する。
 猫にまつわる随筆、短編小説が多く収められているが、なかでも「スイッチョ猫」がお気に入りだ。
 おはなしは、
「子ネコの白吉が、庭で遊んでいて、あくびをしたらスイッチョが飛び込んでしまう。子ネコは不眠に陥る。ねむったかと思うと、スイッチョが急に腹の中で鳴くので、おどろいてとび起き、あたりを意味なく駆け回る。「スイッチョ!」「スイッチョ!」 とうとう、おかあさんネコに連れられて、お医者様のところへいくはめに・・・・。

 われこそは、天下無類の猫好きである、と宣言する人は多いが、大佛さんにかなう人は少ないと思う。なにしろ、かれこれ500匹余の猫たちと住んだことがあるという。世話をしていた当の奥さまのお話だからほんとうなのだろう。
 それだけの頭数だと、譜代と外様に分かれていて、食事時だけ通ってくるちゃっかりものがいたり、家の前に猫入りバスケットを置いていかれたり。また、鈴をつけた通い仔猫に「君ハドコノコデスカ」と荷札に書いて付けてやったり。するとしばらくして荷札に返事があったそうだ。
「カドノ湯屋ノ玉デス、ドウゾ、ヨロシク」
とうとう「物など書かないでネコのように怠けて好きなことをして、日だまりで寝ていたい」と、猫好きにはたまらないおはなしが続く。
 大佛さんは横浜グランドホテルの一室を、執筆用の常部屋にしていたが、ここにも猫たちは出没したのだろうか。1匹や2匹は、お話し相手にいたにちがいないと想像するには、私だけだろうか。



猫と暮らした鎌倉の住まいは、現在「大佛茶廊」として、土日の
週末に開館。お茶とお菓子などが楽しめる。



日本庭園を観ながらの静かなひととき。
案内板やコースターには、眠り猫がまどろむ。

(「猫のいる日々」は、徳間文庫刊で、1994年から第5刷版となるロングセラー本)


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