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キャットアベニュー : ブログ

にゃーちゃんの武勇伝


にゃーちゃん
拾ってきた瀕死の仔猫。我が家のアイドルになるはずが、気が付けば我が家の大黒柱。 それもそのはず・・・・実はにゃーちゃんの正体は・・・!!

通り道

[01/15 13:28]

トラの病院に行く時、いつも白いレンガ造りの洋館風の建物の前を通る。
とても綺麗でなんの店かと思う。
門のプレートを見なければ、それが保健所と気付く人は少ないだろう。


今日はたまたま信号の加減で、門の前で止まった。
美しい外観を眺めていたら、ふとこの保健所はわりと譲渡会が多いことを思い出した。



非常にお恥ずかしいのだが、島根県の保健所の犬猫殺処分数はずいぶん昔からワースト3に入っている。
平成十三年はワースト1だった。

それでも近年はかなり数が減ったというが、ワースト3からは抜け出していない。
県内唯一の民間の保護団体も、2、3年前にやっと出来たばかりだ。




私が小さい頃は、私達が犬猫を拾って来ると、父がまたどこか別の所に捨てに行くか保健所に持って行くかだった。


私の実家がある通りは、当時ものすごく子供が多かった。
そりゃそうだ、どこも同じくらいの年の子供で3〜4人兄弟だった。


大通りから少し入っていることもあり、この辺は子供がいっぱいいるから誰か拾ってくれるだろう、としょっちゅう子猫を捨てに来るばあさんがいた。

私が中学生の頃、真っ昼間にこのばあさんが来て、遊んでいた私達に「誰か拾ってくれるでしょ」と言って目の前で捨てた。
たまたま近くにいた近所の散髪屋のオバチャンが「アンタ!そんなとこに猫捨てたら罰金だよ!」とばあさんに声をかけた。

ばあさんは「でもこの子達が拾ってくれるから」と言った。
「いいや、いつも○○さん(うちの父)が保健所に持って行ってくれてるの!野良猫が増えて困るから止めて」
ばあさんは「まー…」と言うと別の場所に捨てに行った。


そう、この辺の野良猫、野良犬、捨て犬、捨て猫は大概父が捕獲して保健所に持って行っていることは小さい頃から知っていた。

でも、この時散髪屋のオバチャンに聞いて初めて知ったことがあった。

あのばあさんを含め、うちの地域を子猫、子犬の捨て場に選ぶ人はとても多く、一年中何かが捨てられていた。
そんなに里親は見つからないし、別の場所に捨てに行くわけにもいかず、後は保健所だが、保健所と言えばイコール殺処分場。

引き渡した時の犬猫の悲痛な様子と、こちらも罪悪感で、進んで持って行きたくない。
でも、このままにして野良が増えれば子供が危ない。

堂々巡りの議論をしていた親たち。
が、うちの父が「俺が持って行く」と手をあげたのだという。


何ヵ月かしてまたあのばあさんが猫を捨てに来た。
私が「あ、猫!」と言うと、そこにいた父が「こら!そんな所に捨てるな!」と怒鳴った。

ばあさんは散髪屋のオバチャンの言葉を覚えていて、父にこう言った。
「あなたはこんな可愛い子猫をよく保健所に持って行けますね」
父の答えは「じゃああんたが自分で自分の家の庭に穴掘って埋めろ!」だった。


どっちがより残酷なことを言っているのか、子供でも分かった。

ばあさんはそれ以後捨て場所を変えたようだった。






にゃーちゃんが来て、父の保健所行きが減った。

にゃーちゃんがしゃーしゃーやって追い払ってしまうからだったが………(^_^;)

にゃーちゃんが高齢猫の仲間入りをした頃、向かいの家のおっちゃんが、保健所に連れて行く役を代わりますと名乗り出られ、代わったようだった。

おっちゃんは、何べん行っても慣れないね、嫌だね、と言っていた。


昔と比べると捨てられる犬猫の数は、年に0〜5匹と格段に減っているのだが。


そういえば父には保健所の感想を聞いたことがない。
でも、聞かないであげようとも思う。


保健所にヘラヘラと犬猫を捨てに来る人がいるというが、それは一体どんな人達なんだろう。

きっとあのばあさんみたいな人に違いない。


実家の周りの家は借家のお宅を除いて、どこも昔から犬か猫、あるいは両方がいた。
その理由もその時気付いた。

ひとつ言い加えておくと、捨て犬、猫の全てが保健所に行ったわけではない。
近所の人達が、もちろん可能なら自宅に連れ帰ったが、普段から犬猫を欲しがっている人の情報を集めていたから、たまにだったが運よく貰われて行く子がいた。

父も何軒かのお得意先に何匹か子猫を届けていたのを覚えている。
何ヵ月後かに子猫の様子を見に行ったこともあった。
縁側でおばあさんと一緒に日向ぼっこしてた子が印象深い。


また、里親が見つかったのがあまりに嬉しくて、実家から届いたばかりの新米を何升か付けて子犬を届けた近所のオバチャンもいた。
近所中で、米まで付けてやらんでも…と笑ったことがあった。


最近は地域猫なんてのがあって、そうすれば?と思うかもしれない。
だが「地域猫」はまだこの土地にはなじまない。
無理したって続かない。


近年、脱ワースト3を目指して当の保健所が動き始めた。
正直驚いた。

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