ドッグストリート
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ソラ
共に生きるために
カルチャークラッシュ
[10/25 16:45]
私の手元に一冊の本がある。犬の訓練のために書かれたもので、
「 ザ ・ カルチャークラッシュ 」 ジーン ・ ドナルドソン 著 がそれである。
( ヒトとイヌの ) 文化の衝突 という刺激的な題目が気に入って購入した。
人間と犬は、互いに全く異なる文化を持ち、人間と犬が共に暮らすことを
「 文化の衝突 」 と表現した。 だから、
「 犬は人間に忠実な動物 」 といった先入観をもって犬を訓練してはならない、と説く。
ここで、文化とはなんだろうか?
私は、それを、それぞれの動物種の内部で創り上げられる規範と考えたい。
とすれば、人間の規範 と 犬の規範 が違うのは当たり前のこととなる。
人間の社会規範の中で、生きるためには、犬がそれを知らねばならない。
しかし、犬が人間の社会規範を理解するのは容易なことではない。それゆえ、
「 規範を具体的な規則として教える 」 ・・・・ これが 訓練 である。
ドナルドソン氏は、行動主義心理学の学習理論を訓練の基底に置く。
今から 30〜40年前、一世を風靡した理論だ。
例えば、「 すわれ 」 と命令して、犬が座れば餌を与える、誉める、 これが基本。
さして真新しいやり方ではない。ほとんどの飼い主さんがやっていることだ。
私が思うに、問題は訓練の前提条件にある。
犬が 「 犬の規範性 」 のなかで、飼い主さんをどう感じているか?
危険な存在なのか、安心な存在なのか、が大切な条件となる。
もし犬が危険な存在と認識すれば、飼い主さんは反面教師と化すだろう。
すなわち、飼い主さんが犬の信頼を得ることが訓練の前提条件となる。
そのためには、逆説的だが ・・・・
犬が犬自体としての規範を成長させることに協力すること、である。
犬の規範は人間には解らないものだ。
それは犬にしか理解できないもので、犬同士の間で創られ、
互いに教えあい、伝承されるものだろう。
だから、具体的には次の3つを大切にしたい。
一緒に行動すること、そして犬の大切な感覚、匂いを大事にすること
散歩など定期的に一緒に外を歩くこと、そしてリーダーウオークの訓練中でも
一定の場所では、しっかり匂いを嗅がすこと。
人間の世界が視覚中心で構成されているように、犬の世界で中心となる感覚
は嗅覚だから。そして、匂いは犬同士の情報伝達のための道具でもあるから。
できるかぎり、犬同士の挨拶をしっかりさせること
共感能力にみがきをかけるには、多くの犬と挨拶を交わすことだ。
ドッグランなどの犬の群れに定期的に入れてあげること
犬は群れる動物だ。群れは規範を要求する。
規範性の獲得にはもっとも効果的と考えられる。
人間の社会で、犬が安全に暮らしてゆくためには、どうしても訓練が必要です。
これを 「 しつけ 」 と呼びます。
しかし、この 「 しつけ 」 には、訓練と共に、犬が犬として生きる糧となるもの
・・・・・ 「 犬の規範 」 の発達が欠かせないと考えています。