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ドッグストリート : ブログ

サムじいさんのタワゴト


サム

サムじいさんのタワゴト 〜最終回

[12/23 13:54]

何かがワシをかすめた、弾丸のように。何かがワシの行き先をふさいでいる。


猫だ。

キャッツら(ヤツら)は、重力を無視してワシの周りを飛び回る。
時に、ワシはただの敷物扱いだ。もしくは、時々動く障害物。…ワシが犬だという認識がないのか?

時々、甘えてくる…。いや、正確には、ワシを柱や壁の代わりにして、頭や体をこすりつけてにゃーにゃー言うのだ。
決してワシを好いてのことではないのだ。その証拠にワシのほうから近づこうものならシャーシャー言って怒り出す…。
よく殿方が女性を猫に例えるが、なるほどそうかもしれん。扱いが難しいキャッツらだな。

女性といえば、マルコもコロンも雌だ、キャッツらも雌だ。ワシは… 一応 雄だ。雄々しくありたいのだが、女子力に圧倒され グーの音も出ん。

さて、リビングから階段下に追いやられたワシだが、最近はよく玄関に落ちる。そして、フロアへ上がることが出来なくなった。どうにも腰から下が衰えての。上手く動かんのだ。しかし毎日の日課、散歩は欠かさん。
この間散歩をしていたら、通りすがりの老婆に言われた。「なんだい、この犬、死にそうに歩いてるねぇ。」


ああ、そうだとも。「お互いにな。」という言葉を飲み込んで、ワシは歩き続けた。
はたから見れば死に損ないの老犬に見えるのだろう。
だがな、何度も言うようだが心は永遠のセブンティーン、ヤングだ。
ワシは明日も歩き続ける。誰しも年老いる。しかし、老いを受け止めることは生きることを諦めることではない。
ワシはいつまでも、アライ家と共に歩み続ける。
これから先、まだまだ新しい事件がワシに降りかかるだろう。それを楽しみにワシは生きるのだ。

老犬の長い話はこの位にしておくか。
ご静聴に感謝致す。どうぞ皆様、これからも愛し愛され仲良く暮らしてくだされ。

達者でな!


あとがき。
サム、長いタワゴトだったね。
私がサムに出会ったのは10才の時。私の人生の3分の2を共に過ごしたんだね。田んぼで追いかけっこをしたり、桑の木にリードを引っ掛け置いてきぼりにして、サムが鳴いているのを陰から見て大笑いしたり(イジメ?)。サムが逃げ出した時のあの私達を小馬鹿にした表情。様々な場面がタワゴトを聴いていて蘇ってきたよ。
私とサムの朝の戦いもあったよね。休みの日だろうとかまわず、甲高い声で散歩を朝早くから催促するサム。私はもう少し寝てたくて、サムを黙らせようと二階からオハジキつぶて攻撃。サムは負けじと吠えて応戦、結局は母に「サッサと散歩に行きなさい!!」と私が怒鳴られて決着。

いつからだっけ?サムが鳴かなくなったのは。
(デッカいナメクジにサムがたかられた時は、ひゃーおって鳴いたよね。あれは超笑えたよ。)
最近は踏まれた時に、ギャって鳴くぐらいで、今ではあの甲高く散歩を催促する声が懐かしいよ。

幸せかい?サム。

サムみたいな犬にはもう出会わないよ。サムの代わりなんていないよ。
だから、まだまだ一緒に暮らそうね!
愛しのサムへ。

美櫻さんママさんの愛も込めて 皆の愛も込めて ブチュ!




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